コード理論備忘録 基礎 Vol.4 調性内四和音とアナライズ

四和音とは

 Vol.3では三和音(トライアド)について触れましたが、更に1音加えた四和音を考えましょう。ダイアトニックトライアドのように、ルート・三度・五度に更に七度の音を加えます。

 

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図1 ダイアトニックセブンスコード

 

 七度の音を加えてできる四和音を「セブンスコード」と呼びます。セブンスコードは4種類に分類することができます。

 

メジャーセブンスコード

 上記C△7やF△7がこれに該当します。メジャーコードに長七度の音を加えてできるコードのことを言い、「△7」や「maj7」、「M7」のように書きます。

 

マイナーセブンスコード

 上記Dm7,Em7,Am7がこれに該当します。マイナーコードに短七度の音を加えてできるコード、そのまま「m7」「-7」のように書きます。

 

ドミナントセブンスコード

 上記G7がこれに該当します。メジャーコードに短七度の音を加えて出来るコードのことを言い、そのまま「7」をルートのアルファベットの隣に書きます。

 

ハーフディミニッシュトセブンスコード

 上記B∅がこれに該当します。ディミニッシュコードに短七度の音を加えてできるコードのことを言い、「∅」「m7(♭5)」のように書きます。これはマイナーセブンスコードにおいて完全五度の音が減五度になったコードと見ることも出来るため、「マイナーセブンスフラットファイブ」と呼ぶこともあります。ジャズの世界ではこっちの呼び方がメジャーっぽいです。こっちの呼び方のほうが分かりやすくて僕も気に入っていますね。

 

異なる調での調性内四和音

 今までは常にキーがCメジャーでしたが、これを別のキーに変えても今までの理論は問題なく通用します。そこで、試しにキーをGメジャーに変えてみましょう。

 

 五度圏の復習ですが、Gメジャーは五度圏上では「指示で会えば(CGDAEB)」の覚え方からCの1つとなりであるため#が一個増えており、Fにだけ#をつければ良いことがわかりますね。よってコードは以下のようになります。

 

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図2 Gメジャーダイアトニックセブンスコード

 

 Cメジャーダイアトニックセブンスコードと比較してわかるように、「△7」、「m7」、「7」、「∅」の相対的な位置(順番)は変わりません。すなわち、ダイアトニックスケールにおいてセブンスコードを作ると必ず以下のようになります

 

ダイアトニックセブンスコード

・1度、4度→メジャーセブンスコード

・2度、3度、6度→マイナーセブンスコード

・5度→ドミナントセブンスコード

・7度→ハーフディミニッシュトセブンスコード

 

 この関係性は12種類存在しうるキー全てにおいて成立します。そのため、何番目がどのセブンスコードなのかを覚えると良いでしょう。同様に、トライアドの三和音の種類もキーによらずルートから見た度数で決まります。セブンスコードはトライアドでの関係性を包含しているため、セブンスコードを暗記すればトライアドも勝手に覚えられます!

 

アナライズ

 アナライズとはその音楽がどのようにできているかを分析する手法のことです。一般的には楽曲内の各コードの役割を分析し、どのような機能がありどう進行していくかを分析する「和声分析」がこれに該当します。ジャズの世界ではこのコード進行の分析をもとにアドリブソロが行われるため、コード進行をひと目見てどのような構成で楽曲ができているかを把握することは必要不可欠な能力となります。

 

 アナライズでは、しばしばローマ数字による記述が用いられます。すなわち、先程のセブンスコードにおいてキーが変わってもルートから見た度数が同じであれば役割が同じセブンスコードになったように、アナライズにおいては具体的な音高は重要ではなく、そのコードが相対的にどういった役割を担っているかという点が大切になります。

 

 

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図3 ローマ数字による表記法

 

 このローマ数字による表記法が具体的に生きてくるのは実際の曲のアナライズを行う時ですが、表記法をここで頭に入れておくだけで大変便利です。何度も繰り返しますが、大切なのは具体的な音高ではなく、そのコードがそのキーや周囲のコードに対して何度の位置にいるのかという相対的な尺度であるため、このように数字でコードを分類することが極めて有効になってきます。

 

Vol.5に続く。

 

参考:コード理論大全,清水響 著 リットーミュージック