コード理論備忘録 基礎 Vol.2 音階と調号

長音階短音階

 音階とは段階的に上がるか下がるかしている音の集合のことで、特に西洋音楽においては長音階短音階の2つに大別されています。

 

 長音階は一言で言うと基準となる音から「全+全+半+全+全+全+半」の順に音を積み重ねてできている音階のことです。基準となる音がCである場合Cから全全半全全全半にあたる音を確かめていくと、これは「CDEFGABC」となりいわゆるドレミファソラシドにあたります。

 この音階を基準となる音がCであることから「Cメジャースケール」(ハ長音階)と呼びます。

 

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図1 Cメジャースケール

 

 短音階についても同様で、こちらは基準となる音から「全+半+全+全+半+全+全」の順に音が積み重なってできている音階になります。例えば基準となる音をAとすると、長音階のときと同じように考えれば「ABCDEFGA」となります。イタリア音名で言うと「ラシドレミファソラ」ですね。

 この音階を基準となる音がAであることから「Aマイナースケール」(イ短音階)と呼びます。また、これらのスケールにおいて基準となる音は「トニック」といいます。

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図2 Aマイナースケール

 

 さて、この2つのスケールを見比べてみると、基準音が異なるだけでどちらも同じ音高の組み合わせでできている事がわかると思います。このように、メジャースケールとマイナースケールには必ず基準音を変えただけで同じ音高の組み合わせで出来ているペアが存在します。このような2つの音階の関係を「レラティブスケール」、調号の関係を「レラティブキー」と呼びます。しかし日本でより一般的な言い方は「平行音階」「平行調」で、調べるときはこっちのほうが良い気がします。

 

 また、長音階短音階のように7つの音が全+全+半+全+全+全+半の間隔で構成される音階のことを「全音」または「ダイアトニックスケール」と言います。

短音階は全+全+半+全+全+全+半ではないと思うかもしれませんが、短音階全+半++全+半+全+全において水色のからみると長音階のスケールになっています。これがどの音階でも必ず平行調が書ける理由になります。

 

五度圏

 前項から、基準となる音階によって楽曲のキーが決まることがわかります。(例えば基準音をCにした長音階はキーがCメジャーになります。)CメジャーやAマイナーでは黒鍵、すなわち#や♭が登場しませんでしたが、他のキーではどうでしょうか。

 

 例えば、Gメジャースケールを考えると、全+全+半+全+全+全+半の順に音を重ねた場合は「GABCDEF#G」となりFにだけ#が付きます。すなわち、Gメジャーキーの楽曲では普通Fには#がついているということになります。そのような場合、毎回Fの隣に臨時記号として#を書くのは不便なので、音部記号(ト音記号等)の横に調号を示す事ができます。すなわち、下図においてFはF#と解釈して扱うということを指示することができます。

 

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図3 Gメジャースケール

 

 このようにスケールにおいて#や♭をつけなくてはいけない音高は予め決まっています。そのため、慣れてくるとこの調号を見ることでその楽曲のキーが判別できます。今回の場合はFにのみ#がついているため、Gメジャーまたはその平行調のEマイナーと判別できます。

 同様にDメジャースケールを考えると「DEF#GABC#D」となり、FとCに#が付きます。したがって楽譜の調号においてFとCに予め#をつけておくことでその楽曲のキーがDメジャーまたはBマイナーと判別することが出来るのです。

 

 このように、一般的にCからBまでの12種類の音高を基準とした長音階短音階の2種類の計24種類のキーが楽曲には存在します。これらの関係性を分かりやすくまとめたものが「五度圏」と呼ばれるものです。

 

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図4 五度圏

 この五度圏は、Cから#が1つ増えるごとに(時計の時間が進む方向に)完全五度ずつ上がっています。この表はアドリブをする時等調号を見るだけでキーが分かったり、逆にキーがわかることで調号がわかるという意味で非常に優れているため、ぜひ覚えましょう。

 調号がどの順に増えているかについては、#は「ファドソレラミシ」、♭は「シミラレソドファ」と僕はリズムで暗記してしまったのですが、「上(#)にほだされ (ファドソレ)、下(♭)に詩見られ(シミラレ)」という覚え方があるようです。

 また、調号については、「不備な家で(FB♭なE♭A♭D♭)、指示で会えば(CGDAEB)」という覚え方があるみたいです…。更に、平行調はそれぞれ3時の関係(90度の位置)(3つ先のもの)のマイナーという特徴もあります。確かに、完全五度で三回進むと、「完全五度+完全五度=長二度」、「長二度+完全五度=長六度」の関係になるため、CからみたAであり、GからみたEであり、DからみたBですね。

 

 

Vol.3に続く。

 

参考:コード理論大全,清水響 著 リットーミュージック